伊豆下田の南豆製氷を  未来に活かすサイトです。
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カテゴリ:日誌( 74 )
日誌 2013.1.19 ≪南豆製氷1923-2013≫
2013年1月19日(土)

本当は今日から開催するはずだったのだが…。

会場の空き店舗のシャッターを閉めたまま設営作業に明け暮れる。
皆様、申しわけありません。

遮光シートには写真を直接貼ることができないことが判明したので
昨日は帰宅してから徹夜で代替展示方法の材料を作った。

段ボール、両面テープ、テグスなどを使って写真を吊るすことにした。
2005年から2008年まで南豆製氷で開催した様々なイベントのなかで
編み出した方法だ。本来の用途が展示会場ではなく製氷工場だったので、
展示を行う際にはみんなで知恵を絞って低コストの設営手段を考えたものだ。

逆に、工場といっても石造、それも南伊豆地域の伊豆“軟石(なんせき)”で
できているので、天井の高い機械室でひんぱんに開催した音楽イベントの
際には音響がとても良いと、多くの演奏者が言っていた。

それにしても、音響機材や照明機材、机、椅子、ストーブ、扇風機など、
実に多くの備品を市民の皆様から寄贈していただいたり貸していただいた。

2008年に建物を所有者に返還した際には、いただいた備品はできるだけ
廃棄せずに希望者に譲ったり、支援者に手分けして保管してもらって、
机などは今でも活用させていただいている。

夜も更けて、ようやく展示が形になってきた。
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※南豆製氷応援団の公式日誌ではなく、個人的な日誌です。ご了承ください。

(南豆製氷応援団H)
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by nanzu-plus | 2013-01-19 23:00 | 日誌
日誌 2013.1.18 ≪南豆製氷1923-2013≫
2013年1月18日(金)

大正12年建造の南豆製氷は90周年の正月を迎えた。まったく奇跡的。

所有者が国登録有形文化財である建物を「9月から全解体する」前提で
書類を提出して、文化庁がこれを受理したのが2012年の夏だった。

だが、10月に入っても工事が始まる気配がない。意を決して所有者に
電話して買い手を探しているので解体を待っていただくようお願いしてみる。
初めていただいた“猶予期間”は10月末まで。急ぎ東伊豆の協力者に伝える。

残念ながら約1億円の案件を他県の相手とまとめるには時間が足りなかった。

10月31日の夜、所有者に電話でそのことを伝える。これで万事休すか。

建物がまだ立っている間は希望を持ってできることをやろうと思ったが
自分の仕事が立て込んで身動きが取れないまま時間だけが過ぎていった。
それでも一日一回どんなに忙しくても南豆製氷の写真を撮ってブログに
掲載していたが、11月半ばにはさすがにあきらめかけた。

ところが12月になっても南豆製氷は立っている。これはひょっとすると、
90年目の正月を迎えられるかも知れない。記念に何かできないものか。
いま一度、南豆製氷に注目してもらえるし、会場で署名を集めることもできる。

でも、イベント開催中に解体工事が始まったらどうしよう。

いや、年明けから工事が始まるとしても、とにかく元旦に建っていてくれたら、
90年間下田の町を見守ってきた“まち遺産”に敬意を込めて写真展をやろう。

…と、長くなったが、こんな経緯で今回も急きょ展示を行うことになった。

これまで使っていた町店通りの“いっぷく堂まちだなギャラリー”は、
下田を舞台にしたアニメ『夏色キセキ』のファンセンターになっているので
別の会場を探した。下田の町中には市民が気軽に使えるスペースが少ない。
それ自体も南豆製氷を保存したい理由のひとつなのだ。

今回は運よく伊勢町通りの空き店舗を貸していただけることになった。
椅子と机は中央商店街から借用できた。関係者に感謝します!

開催を前日に控えた18日、軽トラックで備品を搬入。

この40分の1模型は2007年に東京の建築家、構造家、学生らが制作したもの。
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下田市が購入・活用を目指していた頃は市民文化会館に展示されていた。

市が計画を断念してからは応援団が引き取って保管。以後イベントがあるたびに
センターピースとして展示してきたが、さすがに歪みが目立つようになった。
展示に耐えられるのは今回が最後になるかも知れない。

さて。肝心の設営作業は難航しまくった。写真を貼る壁面がないので
値段の安い遮光シートを使ったのだが、表面に凹凸があるので貼った先から
写真がはらはら落ちてくる…。別の方法で展示するしかない。

さらに、自分がギックリ直前の腰痛で脚立の上り下りもおっかなびっくり、
このペースではとても展示が間に合わない(汗)。

そんなわけで19日からの開催は不可能になりました。申しわけありません。

※南豆製氷応援団の公式日誌ではなく、個人的な日誌です。ご了承ください。

(南豆製氷応援団H)
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by nanzu-plus | 2013-01-18 23:00 | 日誌
日誌 2013.1.11 市民の意識
夕暮れどきの南豆製氷は絵になる。
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下田は港町。南豆製氷が立つ稲生沢川の河口の向こうには大海原が控える。
そのためか雲の形や色がダイナミックなのだ。江戸時代に町立てされた
旧町は東西南北のマス目に沿った町並み。南豆製氷はその北端に位置する。

大正12年(1923年)に建てられた南豆製氷は下田の水産業の近代化に
貢献し80年間も支え続けて奇跡的に21世紀まで残った。そして2013年、
これまた奇跡的に建造90周年を迎えている。

※写真:『賀茂郡勢概要』(大正12年) 棟上げ式の写真と伝わる
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今は年度内には解体するとの情報が入っているので
いつ工事が始まってもおかしくない中でこんな日誌を書いている。
(週明け15日に1,000筆を突破した請願署名を市長に追加提出します。)

解体すると言う所有者の足を(いつものように…汗)引っ張り続けて
追いすがって(すみません、本当に)、10月初旬に“買い手を探すなら
月末までは解体しない”と言っていただいたのだが、短期間では
買い手はみつからず。

以後、本業に追われて活動できず。万事休すとあきらめかけたとき、
最近ずっとメールで激励してくださっているIさんに叱咤され、
「最後の一人になってもあきらめない」と決めた初心に立ち返り、
解体されるまで再生を求めてできることを細々と続けている。

貧乏ヒマなし忙殺されてはいるが(笑)、それでも一日に一度は
必ず町へ出て南豆製氷の存否を確認して写真を撮ってブログに掲載して、
これまで8年間応援してくださってきた方たちへの最低限のメッセージ
だけは継続中。

今日も夕方ダッシュで南豆製氷を見にゆき写真を撮って旧町側の
顔であるファサードまで戻ると、近所の顔見知りのおばさんが
犬を散歩していて、南豆製氷について話し込んだ。

「解体しないんじゃないの?ずっと立ってるものね。
署名が集まったから解体しないでしょ。あたしも署名したよ。」

多くの市民は下田市が南豆製氷を所有していると思い込んでいる。
現所有者が購入した経緯については公式記録がないので仕方ない。

※写真:2012年11月2日
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「そうかい、解体されるのかい。(跡地に)何か建てるのかねぇ。
駐車場かね?お稲荷さんは丸裸になっちゃうねぇ(隣接する住吉稲荷)。
うちらも良い風よけになってたんだけど…。」

※写真:2012年10月1日
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「それにしてもひどいねぇ。何年もほったらかしだから(建物が)傷むよねぇ。
こっち側は立派な感じだけどね(ファサードのこと)。」

そうなのだ。応援団が建物を借用して一般公開や広報イベントを
開催していた2005年から2008年までは、南豆製氷には毎日人がいて
夜はライトアップされ月一回の全館大掃除(これがまた広いし古いので
大変なのだった)を行っていた。

特に老朽化が進んだ箇所は毎日のように点検して、2006年には下田内外の
市民や建築家や学生さんらを巻き込んで大がかりな補修工事も実施した。

安全性を理由に応援団が現所有者に建物を返還して以来、建物の周囲には
ぐるりと足場が組まれ、市内唯一の国登録有形文化財であるこの貴重な
近代化遺産は完全に放置されてきた。屋根瓦なんか、もはや波打っている(涙)。

※写真:2012年10月14日
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漁業用の大きな氷を製造する原動力を提供していた機械室のルーバーも
あちこち板が抜け落ちている。90周年をこんな情けない姿で迎えるなんて…。

※写真:2012年11月10日
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ただ、現存する第一製氷室は近代の製氷業の様子を今に伝えて健在。
2008年末に木造の第二製氷室が取り壊され、開口部が増えて気候の変化を
もろに受けるようになった分、雨が降れば湿気るが、晴れれば再び乾く。

※写真:2012年12月31日
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購入と構造補強でおよそ二億円というのは、確かに高いハードルだ。
でも、それ以上に今の下田では市も市民もやる気が見えない。夢がない。
それこそが問題のような気がしてならない。

皆で知恵と力を結集すれば十年後の建造100周年までに耐震補強して
歴史教育や観光のための施設に再生できるのではないだろうか。

****************************

それにつけても地元民に向けた広報活動は難しい。
ウェブで見て知った市外の方たちのほうが熱心なぐらいだ(汗)。
いくら新聞に書いてもらっても、イベントを開催しても、
一軒ずつチラシを配って歩いても、なかなか効果が上がらない…。

皆様、ぜひ広報にご協力をお願いします。
市長宛ての請願署名も南豆製氷の命運が決するまで続けています。
※詳しくはトップの「情報」をお読みください。

(南豆製氷応援団H)
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by nanzu-plus | 2013-01-11 21:00 | 日誌
日誌 2012.10.31 時間が足りない…
10月31日。所有者の方が示してくださった解体までの猶予期間が終わる。
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この三週間、署名を集め、下田市長に会い、静岡県知事にアピールしてきた。
また、個人や建築関係の組織にも建物の保存価値を訴える文書を市長や
県知事に提出していただけないか、お願いしている。

(下田市議会にはすでに陳情書を提出したのだが、これまで共に保存に向けて
活動してきた議員さん一人を除くと、まるで反応はなかった。)
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水面下では知人を仲介に、歴史的建造物の保存に関心のある方に
コンタクトしてもらっているのだが、近県にお住まいではないので
仲介者が直接お訪ねして話をする機会がないまま期限を迎えてしまった。
先方には建物の図面や資料などは送りしたとのことだったが、実際に
南豆製氷の保存に動いてくださるかどうかは現時点では不明なまま。

所有者にそのことを電話でお伝えしたが、厳しいお叱りの言葉をいただいた。
解体工事の予定が立たずご迷惑をおかけしてきたので当然だろう。
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所有者も元はといえば市に頼まれて「下田のためになるなら…」と期限付きで
購入してくださった篤志家なので、建物を壊すのが目的ではけしてないだろう。
だが、解体後に伊豆石を再利用するご予定とのことなので、もうこれ以上は
待ってはいただけないかも知れない。
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日中は時間がなかったので、夜になってから南豆製氷を撮影した。
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南豆製氷応援団が皆様からカンパを募って建物の管理運営を託されていた
期間は有志が照明を設置して建物を毎晩ライトアップしていた。4年間も
放置されて荒れ放題になった現在の姿を見ると心が痛む。

(H)
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by nanzu-plus | 2012-10-31 23:00 | 日誌
2012.10.29 打開策がない
10月29日、下田市長に追加分の署名を提出。28日現在975筆。
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各地でご協力いただいている皆様、本当にありがとうございます。
所有者の方が示した猶予期間は10月31日までですが、署名は
南豆製氷の命運が決するまで集める所存です。

引き続きご支援よろしくお願いします。

南豆製氷は2013年に建造90周年を迎えます。下田が漁業基地として
繁栄した大正末期から氷を提供し続けた、町の大切な近代化遺産です。
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ただ、21世紀にはいるまで稼働していた現役工場だったため、
これまで国や県の産業遺産調査にも含まれていない。近代製氷業の
姿を伝える国内では珍しい遺構であるにもかかわらず、きちんとした
学術的な調査も実施されていません。

静岡県が昨年出版して好評を博した県内の産業遺産を紹介する冊子にも
含まれていません。

下田では市史編纂室が有史以前からの町の歴史を順次まとめて出版して
きましたが、近現代に取りかかるのは来年度から。

伊豆半島が地球の営みを体感できるジオパークとして国内認定を受けたのは
南豆製氷の解体工事が開始される予定だった今年の9月。

ジオパーク構想の中で伊豆石は“火山からの贈りもの”と位置付けられて
いますが、南豆製氷も伊豆に残存する最大の石造建築として見る価値のある
“ジオスポット”として注目されるのはこれからでしょう。

南豆製氷が文化財として市民に意識されるようになったのは、2004年に
まちづくり会社が保存運動を始めてからのことです。

このままでは広く文化財としての価値が認められた頃には南豆製氷は
跡形もなく解体されてしまった後でしょう。
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下田市や議員さんや市民が少しだけ時代に追いついて、未来へ向けて
少しだけ想像力を働かせてくださることを祈るばかりです。

(H)
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by nanzu-plus | 2012-10-29 23:00 | 日誌
2012.10.28 静岡建築士会ご見学
静岡県建築士会の中部ブロックの16人が「景観一考」という
テーマで下田を散策するためご来訪。
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まちあるきを企画したのが南豆製氷の保存活動の同志で
今は清水で建築家として活躍しているS氏。というわけで、
旧町内の散策に同行した。
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まず城山(下田)公園から町全体を見渡してから、江戸時代
初期に海の関所として繁栄した下田の町並みの 成り立ちや、
跡形もなく消えてしまったかつての基幹産業、下田ドックや
旧下田小学校など町の風景の変遷を説明しつつペリーロードを
経て改装中の櫛田家の蔵などの古民家を巡るコースだった。
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“観光”ではなく“景観”をキーワードにしたまちづくりに
関心のある建築の専門家によるまちあるきだったので、
閉鎖されたままの古民家や、駐車場ばかりが増えて町並みが
失われつつある現状なども見ていただいた。
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2010年に景観条例が施行されて、ようやく景観に配慮した
改修や新築が行われるようになってきている下田。
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市民の間でも今後徐々に景観や“下田まち遺産”に対する意識が
高まってゆくだろうことを思えば、そんな変化の兆しが見えてきた
この時期に、建造90周年を前にした南豆製氷が失われようと
しているのが残念でならない…。

(H)
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by nanzu-plus | 2012-10-28 23:00 | 日誌
2012.10.15 文化はいつも後まわし
所有者から10月31日までの猶予が示されたことを受けて、7月に就任した
楠山市長に会ってきた。

同行者は、最初に南豆製氷の購入に向けて活動を始めたまちづくり会社
(株)下田TMOの代表だった田中豊さん(現下田市商工会議所会頭)、
この8年間一貫して南豆製氷の保存を議会で訴え続けてきた市議会議員の
鈴木敬さん、東京から駆けつけた南豆製氷応援団の竹内さんです。

※竹内さんは、自分が借金して南豆製氷の一部だけでも購入して残そうと
呼びかけてくれた建築家です(残念ながら提案は却下されました)。

先方は、市長と副市長が一時間以上も応対してくださいました。

私たちは以下の点を中心にアピールしました:
・現所有者はそもそも市の養成を受けて南豆製氷を一時的に
 購入した方で「下田のためになれば良い」と一貫して語っている。
 市が主導して行動すれば活用に向けた購入方法についても相談に
 応じてくださる可能性があると思われる。
・国登録有形文化財である南豆製氷の保存については静岡県も関心は
 寄せているが、市が動かないことには支援策の検討もしようがない。
・国内認定された伊豆半島ジオパークの発展に伴い、伊豆最大の
 石造建築として“ジオスポット”に該当する南豆製氷の観光施設
 としての活用価値は高まる。
・下田ならではのオリジナルなものに投資しなければ観光地として
 競争には勝てない。
・南豆製氷だけでなく伊豆石は重要な景観要素。下田は“開国の歴史”
 から“まちなみ整備”へと全体として取り組む必要がある。

市長の回答は以下のとおりです:
・南豆製氷の価値を理解していないわけではない。景観も大事。
 だが、大震災を受けた防災対策の見直しや市庁舎移転等々、他の
 施策と比べて優先順位が低い。
・南豆製氷を買うだけの財政力がない。建物が寄付されたとしても
 市が管理運営するのは無理。

つまり、2005年に南豆製氷応援団が提出した署名を受ける形で
購入を表明したのち2008年に断念した前市長と同じ回答だった。

応援団が現在集めている署名は、近代化遺産への関心の高まりや
伊豆半島ジオパーク構想の進展に伴い観光施設として収益源となる
可能性が出てきた情勢の変化を踏まえて南豆製氷の活用を再検討
していただきたい、という内容だ。

今日の市の回答には、この間の情勢の変化を受けて高まっている
南豆製氷の新たな活用可能性を再検討する意思は感じられなかった。

下田市にカネがないとして、では残すべき文化財の価値はコストが
安い順に決めるというのだろうか。

それでは、カネで買えない価値を理解する資産家のパトロンでも
いないかぎり、次世代に伝えるべき地域の文化や文化財は
失われてゆくばかりだ。

守るべき文化財としての価値を認めているのなら、地域の収益源と
しての金銭的価値をどのように高めていくのか、真剣に考えるべき
ではないのだろうか…。

地域に固有の文化こそ、旅人を惹きつける最大の観光資源では
ないのだろうか…。

このままではパトロンが確保できないかぎり南豆製氷は守れない。
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(H)
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by nanzu-plus | 2012-10-15 23:00 | 日誌
日誌 2012.10.12 市長とアポ
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所有者に提示された猶予期間はあと19日。何ができるのか。

今日、五月雨式に集まってくる署名を市役所に追加提出してきた。
週明けには市長にお会いできることになった。

南豆製氷は約1億円で購入できても構造を補強しなければ活用できない。

89年前の大正末期に建造され21世紀まで本来の任務である水産業向けの
氷を製造してきた工場の鑑ともいえるこの建物は、2004年に保存運動が
起こるまで文化財として意識されていなかった。働き続けた建物は
当然ながらあちこちガタがきている。

当初から購入費用と補強費用に合計2億円ほど必要と言われてきた。
ナマコ壁と伊豆石の古民家などの保存とはケタが違うこの「2億円」
という金額がこれまでずっとネックになってきた。

港町下田の近代化を支えた文化財としての価値、伊豆の石造の伝統と技を
今に伝える“下田まち遺産”としての価値そのものを重視して市民の
共有財産として守るのは本来は自治体の任務だろう。
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だからこそ、下田市も2005年から2008年にかけて南豆製氷を購入して
活用することを念頭に動いていた。その流れの中で市が購入資金を
捻出するまでのピンチヒッターとして現所有者に購入していただいたのだ。

その市がいつの間にか購入を断念。これを受けた所有者の意向が
わからなかったこともあって、2008年以降は草の根の保存運動も衰退。

資金調達もさることながら、2億円の投資を効率的に回収できる事業計画は
なかなか出てこなかった。

それがここへきて伊豆半島ジオパーク構想が出てきたことによって
南豆製氷を取り巻く状況は大きく変わったのではないかと思う。
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南豆製氷は地元で採石された凝灰岩でできている。そしてジオパークでは
伊豆石は“火山からの贈りもの”。伊豆の石造の伝統は地球の火山活動が
もたらした恩恵と共に歩んできた伊豆の人々の歴史だ。

伊豆半島は噴火をくり返しながらプレートに乗って移動してきた火山島が
本州に衝突して形成された。日本で唯一フィリピンプレートに乗っている
稀有な地域なのだ。この9月にはジオパークとして国内認定された。
今後世界認定される可能性も高いのではないか。

橋やトンネルを除く半島最大の伊豆石建築である南豆製氷はジオスポット。
下田のみならず、南伊豆地域のジオサイトやジオスポットを紹介する
ビジターセンターやミュージアムとして活用すれば、投下資金を回収できる
事業の青写真が描けるのではないだろうか。

文化財としての価値を核とした観光資源としての可能性がようやく見えてきた
この時期に、この建物が来年の建造90周年を見ることなく失われるのは
持てる宝を自ら破壊するようなもの。あまりにもったいない。
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(H)
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by nanzu-plus | 2012-10-12 23:00 | 日誌
日誌 2012.10.9 所有者から連絡あり!
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所有者からようやく連絡があった!ありがとうございます!

もしかしたら購入に関心を持ってくれるかも知れない人がいるので
敷地の図面などを提供していただけないか、聞いてみる。手元にない
とのこと。当方が持っている情報などを提供しても良いそうだ。

所有者は元々南豆製氷の伊豆石に関心のあった人だ。2005年当初
市民の共有財産として保存・活用する方針だった下田市の意向を受けて
市のピンチヒッターとして一時的に南豆製氷を購入してくれた篤志家だ。

2008年になって市が購入を断念したことによって建物の処遇に困り、
解体やむなしとの結論に至ったという。

電話では「解体の方針は変わらない、今は解体後の伊豆石の置き場を
確保している」とのこと。以前は「買い手があれば売る」と話して
いたので、もうその選択肢もなくなってしまったのか聞いてみた。

「もう充分待った」とのお答え。そのとおりだ。市が購入しないと
言明してからすでに4年。この間、市は問い合わせる市民に対して
「個人所有の建物なので市は関知しない」と冷たい反応だった。

ただ、この間に所有者は下田の近代化遺産として大切な木造の
第二製氷室を解体して跡地を駐車場に、残った石造の建物全体を
足場とシートで囲み、建物が劣化するなか補修もせず、かと思えば
ご自身が観光施設として活用するようなお話もされていた。

南豆製氷の保存と活用を求めて活動してきた市民には出る幕が
あるのかないのか、まったくわからないまま時がすぎていった。
市民の中には所有者が活用するための構造補強を行うために
足場をかけているのだと未だに信じている人もいる。

所有者が本気で解体を考えていることが判明したのは2011年11月。

以来、保存運動の仲間である東京の建築家が自分が借金して資金を
作るので建物の一部だけでも残せないかと提案したが、一部だけの
購入はダメ、との回答だった。

購入に約1億円、構造補強に約1億円といわれてきた南豆製氷の
資金調達・回収策は簡単には出てこない。

だが、今となっては構造補強や活用策以前に、なんとか土地建物を
購入しなければ永遠に失われてしまう局面になっている。

ここまで待っていただいたのだからもう少しだけ待っていただけないか
と、図々しく食い下がった結果、「10月いっぱいで結論を出して」と
言ってくださった。本当に感謝します。

もう三週間しかない。が、まだ三週間ある。

この4年間でほんの数人になってしまったが、南豆製氷の再生を
諦めていない仲間に急ぎ連絡する。

(H)
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by nanzu-plus | 2012-10-09 23:00 | 日誌
日誌 2012.10.2 まだ時間はあるのか
所有者の解体計画では今頃はとっくに解体されてしまっていても
おかしくない状況だが、南豆製氷はまだ建っている。
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だが、所有者と連絡がとれないので、保存運動にあとどれぐらいの
時間が残されているのかわからない。焦る。

稲生沢川に面した機械室二階のルーバーはあちこち歯抜けになっている。
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木造の第二製氷室が壊されたまま外気に接している第一製氷室は
雨が続いた後も思いのほか乾燥している様子。木は生きている。
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駐車場に車両が多いと撮影することができない旧町に面したファサード。
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9月に国内認定を受けたばかりの伊豆半島ジオパーク構想。
南豆製氷は伊豆に現存する最大の石造建築。伊豆石は“火山の贈りもの”
である凝灰岩。貯氷庫の外壁は伊豆石の豊かな表情を見せている。
南豆製氷そのものが、希少な“ジオスポット”なのだ。
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この建物にはこれからの伊豆の観光資源としての価値があると思う。

(H)
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by nanzu-plus | 2012-10-02 23:00 | 日誌


南豆メモ
南豆製氷 消滅


これまで建物を
残してくださった
所有者に向けた
≪ありがとう募金≫
2013.11.30 終了
合計:36万3,593円

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